Google Apps Script（GAS）と通常のJavaScriptは、両方ともプログラミングの世界で重要な役割を果たす言語ですが、その用途や特性には重要な違いがあります。
この記事では、GASとJavaScriptの違いについて詳しく掘り下げ、それぞれの言語がどのような文脈で使用されるのかを解説します。
Google Apps Script (GAS)とは何か
Google Apps Scriptは、Googleが提供するクラウドベースのスクリプトプラットフォームです。
主にGoogle Workspace（以前はG Suiteと呼ばれていました）というスイートに含まれるさまざまなオンラインアプリケーション（Google Spreadsheets、Google Docs、Gmailなど）と統合して、カスタムな自動化や拡張機能を作成するために使用されます。
GASは、JavaScriptを基にしており、Googleが提供するAPIを使用してGoogleアプリケーションと連携できる特別なスクリプト環境です。
GASは、主にGoogle Workspace（旧G Suite）アプリケーションとの連携や自動化を行うために使用されます。
Google Apps Scriptでできること
スプレッドシートの自動化: GASを使用して、スプレッドシート内のデータを操作、更新、集計する自動化スクリプトを作成できます。例えば、特定の条件を満たす行を自動的にフィルタリングしたり、データを他のアプリケーションと同期させたりできます。
ドキュメントのカスタマイズ: GASを使って、Google Docs内のテキストや書式を自動的に変更するスクリプトを作成できます。例えば、特定のテンプレートから新しいドキュメントを作成したり、ドキュメント内の特定のキーワードを自動的に置換したりできます。
Gmailの自動化: GASを利用して、Gmailの受信トレイの管理や自動的なメール送信を行うスクリプトを作成できます。例えば、特定のキーワードを含むメールを自動的にフォルダに分類したり、特定の条件を満たすときに自動的にメールを送信したりできます。
JavaScriptとは何か
JavaScriptは、プログラミング言語の1つであり、ウェブページの対話的な機能を追加するために広く使用されています。
JavaScriptは主にウェブブラウザ上でクライアントサイドのスクリプトとして動作し、ウェブページの要素を操作したり、ユーザーとの対話を可能にしたりします。
近年では、Node.jsというサーバーサイドの実行環境が登場し、JavaScriptを用いてバックエンドのアプリケーションも開発することができるようになりました。
JavaScriptは、ウェブページやアプリケーションのクライアントサイドとサーバーサイドで広く使用されます。
JavaScriptでできること
ウェブページのインタラクティビティ: クライアントサイドのJavaScriptは、ウェブページ内での動的な要素の表示や非表示、ユーザーの入力に対するリアクションなどを実現します。例えば、フォームのバリデーション、ボタンをクリックした際のアクションなどがこれに該当します。
Webアプリケーションの開発: クライアントサイドとサーバーサイドのJavaScriptを組み合わせて、ウェブアプリケーションを開発することができます。クライアント側ではユーザーインタフェースの操作、サーバー側ではデータベースの操作やAPIの提供などが行えます。
バックエンド開発: Node.jsを使用して、サーバーサイドのアプリケーションを開発できます。ファイルの操作、データの処理、APIのリクエストの処理など、さまざまなタスクをサーバーサイドで実行することができます。
Google Apps Script (GAS)とJavaScriptの違い
Google Apps Script (GAS) は、Googleのクラウドベースのスクリプトプラットフォームで、Google Workspace（旧G Suite）の各種アプリケーション（Google Sheets、Google Docs、Gmailなど）と連携して、自動化やカスタム機能の追加を行うためのスクリプト言語です。
GASは、JavaScriptをベースとしたスクリプト言語を使用していますが、通常のブラウザで実行されるJavaScriptとはいくつかの違いがあります。
下記4つの項目で、Google Apps Scriptと通常のJavaScriptとの違いを比較しました。
「実行環境」の違いを比較
Google Apps Script
GASは、Googleのクラウドプラットフォーム上で実行されます。
主にGoogle Workspaceのアプリケーション内でスクリプトを実行し、それらのアプリケーションと連携して動作します。
通常のJavaScript
一般的なJavaScriptは、ウェブブラウザやNode.jsなどの実行環境で動作します。
「提供されているAPI」の違いを比較
Google Apps Script
GASは、Google Workspaceアプリケーションとのシームレスな統合を提供します。
スプレッドシートのデータやドキュメントの内容などにアクセスするための専用のAPIを提供しています。
通常のJavaScriptの場合
通常のJavaScriptは、ブラウザ内でのクライアントサイドの操作や、Node.jsを使用したサーバーサイドの操作に焦点を当てています。外部のAPIとの連携も行えますが、Google Workspaceアプリケーションとの統合は直接提供されていません。
「ライブラリ」の違いを比較
Google Apps Script
GASには、Googleが提供する各種サービス（スプレッドシート、ドキュメント、Gmailなど）へのアクセスを行うためのライブラリやメソッドが用意されています。
通常のJavaScript
通常のJavaScriptには、ブラウザやNode.jsのためのDOM操作、AJAX通信、サードパーティライブラリなどがありますが、Google Apps Scriptのような特定のサービスに特化したライブラリはありません。
「セキュリティ」の違いを比較
Google Apps Script
GASは、Googleのセキュリティモデルに従って動作し、特定のアクセス権を持つスクリプトが適切な権限で実行されるように制御されます。
通常のJavaScript
通常のJavaScriptは、ウェブページ内で実行されるため、クロスオリジン制約やセキュリティの考慮が必要です。
まとめ
総括すると、Google Apps Scriptは、特定のGoogle Workspaceアプリケーションとの強力な統合を提供し、それらのアプリケーションの自動化やカスタム機能の追加に適しています。
一方、通常のJavaScriptは、ウェブブラウザやNode.jsなどの一般的な実行環境で広く使用され、ウェブページの操作やサーバーサイドの開発に向いています。
